希望を持てないのは、その人のせいなのか?
「これから何をしたいですか?」
この問いに、すぐに答えられる人もいれば、言葉が出てこない人もいます。
やりたいことがあっても、お金や時間の余裕がない。
相談できる相手がいない。
失敗したあとに、もう一度挑戦できる見通しが立たない。
そんな状況にいる人へ「もっと前向きになろう」と伝えるだけでは、現実はなかなか変わりません。
僕は株式会社Life Crayon Styleの代表として、企業経営や事業づくりに取り組んでいます。
その活動の中心に置いているのが、「希望格差の是正」です。
人が自分の未来を考え、選び、動き出せるようになるために、何が必要なのか。
個人の気持ちと、その人を取り巻く環境の両方から考えています。

頑張りたいのに、未来を描けない人がいる
目の前の生活を守ることで精いっぱいのとき、数年後の夢を考えるのは簡単ではありません。
新しいことを学びたくても費用を払えない。
仕事を変えたくても、収入が途切れると生活が成り立たない。
誰かに頼りたくても、どこへ行けばよいのかわからない。
外から見ると「行動していない」という同じ状態でも、その背景は一人ひとり違います。
僕が考えたいのは、その人が動き出すために、何を変える必要があるのかということです。
本人の工夫で変えられることもあれば、周囲の支援や制度が必要なこともあります。
その違いを見ないまま、意欲だけを求めないようにしたいのです。
自分自身の人生でしてきた経験を社会の問いにつなげる
僕が自分の人生について発信し、経営や教育に取り組んでいることも、「人はどんな条件のもとでも、自分の可能性を広げられるのか」という問いにつながっています。
ただ、僕自身の経験だけをもとに、誰にでも当てはまる答えを出すことはできません。
ある人にとって力になった言葉が、別の人には負担になることもあります。
挑戦する機会を渡すだけでは足りず、その前に生活の安心や休む時間が必要な人もいるでしょう。
だから、自分の経験から生まれた問いを、ほかの人の経験や研究と照らし合わせていきたい。
一人の物語を語るところから、より多くの人が使える仕組みを考えるところへ。
それが、僕が希望を研究している理由です。
希望格差とは、未来の選択肢の違いでもある
僕が「希望格差」という言葉で捉えようとしているのは、人によって未来を思い描き、実現に向けて動くための条件に差があることです。
たとえば、身近に相談できる人がいるか。
学び直す機会があるか。失敗したときに生活を立て直せるか。
こうした条件は、自分の努力だけでは決まらない部分があります。
同じ「起業したい」という気持ちがあっても、支えてくれる人や資金がある場合と、すべてを一人で背負う場合とでは、一歩を踏み出す重さが違います。
この違いを見えるようにし、改善につなげることが、希望格差の是正の出発点だと考えています。
「努力すれば変われる」を、実際に使える言葉にするために僕は、行動することや学ぶことを大切にしています。
経営にも、事業づくりにも、実行は欠かせません。
だからこそ、努力が成果につながる条件も一緒に考えたいのです。
何をすればよいかわかること。
小さく試せること。
困ったときに相談できること。
うまくいかなかった原因を見直し、次の方法を選べること。
そうした土台があって初めて、「やってみよう」が現実の行動になります。
人に変化を求めるなら、変わろうとする人を支えられる環境もつくる。
その両方に取り組む必要があります。
誰もが、大きな夢を持つ必要はない
希望について考えるとき、気をつけたいことがあります。
起業したい、収入を増やしたい、社会を変えたい。
そうした目標だけで、人の希望を測ってよいのかということです。
今の暮らしを大切にしたい人もいます。
家族と穏やかに過ごしたい人もいる。
体調を整えながら、無理のない働き方を続けたい人もいます。
変化を望まないことと、希望がないことは同じではありません。
本人が大切にしている生活や、選びたい未来を尊重する。
そのうえで、選択を妨げているものがあるなら、一緒に考えていく。
僕たちの取り組みも、その視点を忘れずに進めたいと思っています。
希望を測り、改善につなげる研究へ

現在取り組んでいるHOPE Scaleでは、人が感じる希望や、その背景にある条件を捉え、改善に役立てることを目指しています。
ただし、人の希望を数値にすれば、その人のことがすべてわかるわけではありません。
質問が意図したものを測れているのか。
年齢や生活状況が違う人にも適切に使えるのか。
支援の前後で数値が変わったとして、その変化は何によるものなのか。
確かめるべきことは多くあります。
調査から関係が見えたことと、支援によって改善したと証明できることも、分けて考える必要があります。
研究者や専門家の力を借りながら、こうした点を丁寧に検証していく。
その過程を通じて、現場で役立つ指標に育てていきたいと考えています。
研究を、企業・地域・政策の判断につなげる
希望の状態が見えるようになったとして、その先に何をするのか。
僕たちが目指しているのは、結果を発表することに加えて、支援や制度を改善するために使える形にすることです。
企業であれば、働く人が相談しやすい環境や、成長の機会をどう整えるか。
地域であれば、学びや仕事、居場所へのアクセスをどう広げるか。
政策であれば、どのような人に支援が届いていないのか、何を変えれば選択肢が増えるのか。
希望の研究を、こうした具体的な判断に結びつけたい。
そのためには、想いを伝えることと同時に、根拠を示し、取り組みの効果や限界を説明できることが必要だと考えています。
僕たちの取り組みも、確かめながら進めていく
希望格差の是正には、すぐに使える一つの正解があるわけではありません。
よいと思って始めた方法が、期待したほど役に立たないこともあるでしょう。調査を進めるなかで、最初の仮説を変える必要が出てくるかもしれません。
そのときに大切なのは、最初に考えた方法にこだわり続けることよりも、誰の何を改善したかったのかに立ち返ることです。
経営、教育、研究、それぞれの立場から見えるものを持ち寄って、よりよい方法を探す。
僕一人の考えだけで完結させず、異なる知見を持つ人たちと取り組みを育てていきたいと思っています。
実現したいのは、自分の未来を選べる社会
生まれた環境や、これまでの出来事によって、その後の選択肢が閉じてしまわない社会。
助けが必要なときに、助けを求められる社会。
今の暮らしを大切にすることも、新しいことに挑戦することも、自分で選べる社会。
希望格差の是正を通じて、僕が目指しているのは、そうした社会です。
企業経営も、教育も、研究も、その実現に向けた取り組みとしてつなげていきたいと考えています。
希望を広げるために、身近なところでできること

希望格差は大きなテーマですが、身近な関わりのなかにも考えるきっかけがあります。
誰かが動けずにいるとき、意欲を判断する前に、困っていることを聞いてみる。
自分が知っている相談先や学ぶ機会を、必要としている人に伝える。
相手が望んでいるのは挑戦なのか、安心なのか、少し休むことなのかを確かめる。
その人に必要なものを知ろうとするところから、できることが見えてくるかもしれません。
あなたがこれまで、もう一度やってみようと思えたのは、どんなときでしたか。
支えになった人や機会があるなら、その経験も、希望を考えるための大切な手がかりです。
僕は、そうした一人ひとりの経験と、研究で確かめられることをつなぎながら、希望格差の是正に取り組んでいきます。
希望格差是正の専門家
竹内力也

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