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ロジックツリーとは?その使い方と制作手順

「企画や提案がうまく通らない」

そんな悩みはありませんか?
この記事では、ビジネスに必須な「ロジカルシンキング」の中でも特に「ロジックツリー」という方法に焦点を当て、その作り方や実際の例を詳しく解説します。

ロジカルに考え方を向上させたい方や、考えを相手に明確に伝えたい方は、是非チェックしてください。

① ロジックツリーとは?

ロジックツリーは、問題を解決するための有名な手法の1つで、ロジカルシンキングの中でもよく知られています。
これは、木が枝に分かれるように、問題や課題を細かく分けて考える方法です。

この方法を使うことで、問題の真の原因や解決策を効率的に特定することができます。
複雑な問題でも、細かく分解することで、その核心に迫ることができるのです。

例えば、「忘れ物が頻繁に発生する」という問題に関して、原因を考えたい場合は上記のようなロジックツリーを書くことができます。

② ロジックツリーを作成するメリット

問題解決のための有効な手段として、ロジックツリーの作成のメリットを紹介します。
問題解決の目的を中心に、下記のような9つのステップを経て解決策の実行に向かいます。

  1. 現状の整理
  2. 理想のビジョンを明確にする
  3. 現状と理想の間のギャップを明らかにする
  4. 問題点をリストアップ
  5. 主要な課題を特定
  6. 解決策を考え出す
  7. 解決策を優先順にランク付け
  8. 最適な解決策を選択
  9. 実際に実行する

このプロセスを進める中で、ロジックツリーを用いることによるメリットは4つあります。

メリット① 課題の特定がしやすい

問題を解決するには、まず現状と理想を比較して、その差異を明確にします(ステップ1-3)。
そして、そのギャップから問題点を洗い出し、具体的な課題を見つけ出す必要があります(ステップ4-5)。

ここで、ロジックツリーが非常に役に立ちます。
その理由は、ロジックツリーを用いて問題をMECE(もれなく、だぶりなく)の原則に基づいて分解することで、全体の課題を把握しやすくなるからです。

※MECEとは、Mutually Exclusive、Collectively Exhaustiveの略で、「もれなく、だぶりなく」という意味です。

メリット② 解決策が出やすい

課題を明確にした後、次はその解決策を考案する段階です(ステップ6)。
ここで、課題を核とした新しいロジックツリーを構築します。
このロジックツリーにより、課題の各要素を分解し、それぞれの要素に対する具体的な解決策をよりスムーズに洗い出せるようになります。

メリット③ 優先順位を決めやすい

たくさんの解決策が浮かんでも、各要素の隣にその評価を記載することで、解決策同士の比較が簡単になります。
これにより、どの解決策から先に取り組むべきかの判断がしやすくなるのです(ステップ7、8)。

メリット④ 行動が起こしやすくなる

一度優先順位が確定したら、問題解決の実行フェーズでロジックツリーの真価が発揮されます(ステップ9)。
その理由は、明確に記載された具体的なアクションが行動化を促進し、さらに周りの人々もプロジェクトに参加しやすくなるからです。

4種類のロジックツリー

これまでの説明から、ロジックツリーの数々の利点を理解いただけたかと思います。
次に、ロジックツリーの4つの主要な種類について詳しくお伝えします。

① What:要素分解ツリー

1つ目に挙げるのは「要素分解ツリー」というものです。
これは「Whatツリー」とも称され、問題がどこで起きているのかを明確にするために用いられます。

何か問題が生じたとき、このツリーを使って要因や要素を細分化し、問題の発生源を正確に捉えるのに役立ちます。
例として、「整理整頓されていない問題」を細かく分解して考える場合、以下のようなロジックツリーが考えられます。

② Why:原因追及ツリー

2つ目に挙げるのは、「原因追究ツリー」というものです。
これは「Whyツリー」とも称され、問題の背後にある原因を追及するために用います。

問題の発生地点が分かった後、その問題がどうして生じたのかを明確に探求するのにこのツリーは有効です。
たとえば、もし「忘れ物が頻繁に発生する」という課題がある場合、その背後にある原因や要因を探ると、先に述べた「要素分解ツリー」と同様の方法で以下のようなロジックツリーを構築することができます。

③ How:問題解決ツリー

3つ目に挙げるのは、「問題解決ツリー」です。
これは「Howツリー」とも称され、問題への対策とその実施の優先度を明確にするためのツリーとして用います。

原因追究ツリーを使って問題の背後にある原因を明らかにした後、具体的にどのようにその問題を解消するかの策を検討する時にこのツリーが非常に有益です。
問題の原因が特定されても、それに応じた実際の行動をとらなければ、結果として効果が薄れてしまいます。
そこで、原因から具体的な行動プランへと結びつけるステップが重要となります。

そして、具体的なアクションを定めた後、どの行動を先にとるべきか、つまり優先順位を決定するときにも、このツリーのアプローチが大いに役立ちます。
「忘れ物の発生の防止」を目標に、取りうるアクションとその優先度を整理する場合、以下のようなアプローチを採用することが考えられます。

④ KPIツリー

最後4つ目は「KPIツリー」というものです。
これは、問題解決策の各ステップに具体的な数値目標を設定するためのツリーです。
問題解決ツリーで明確にされた行動計画に対して数値目標を結びつけることにより、それぞれの行動の達成状況や進捗を管理・確認することが可能になります。

まとめると、ロジックツリーには上記の4つの種類があり、その目的やシチュエーションに応じて適切なものを選択し使用します。

ロジックツリーの作成手順

ロジックツリーの作成には、以下の3つの手順を踏みます。

  1. メインのテーマを設定する。
  2. 要素をMECE原則に基づいてリストアップする。
  3. 可能な限りさらに要素を細分化する。

まず、ロジックツリーの核心となるテーマを確定させます。
どの種類のツリーを作るかは、目的に合わせて先に紹介した4つのタイプから選びます。

次に、選んだテーマを基に、その下位の要素をMECE原則に従って列挙します。
テーマを一番左側に置き、右側にはテーマから派生する要素を一段ずつ深めていきます。
この際、「要素がMECE原則に則しているか」の確認は必須です。
重複の要素があれば無駄にリソースを消費する恐れがあり、一方で欠落している要素があれば重要なポイントを見落とすリスクが生じます。

最後に、それぞれの要素をさらに細分化します。
この要素をアクションレベルまで具体化することで、問題の解決策へのアプローチが明確になります。

ロジックツリー作成時の注意点

実際にロジックツリーを作成のに、いくつか注意するべきことがあります。

1.問題の定義を明確にする

問題の定義が変われば、解決策も異なります。
定義が不明確だと、ロジックツリーが混乱し意味を成さなくなるので、注意が要ります。

2.MECEを徹底

ロジックツリー作成時、MECEに要素を分解することは必須です。
その際、「もう分解できるか」「各要素は親要素に適切に含まれているか」といった疑問を持ちながら確認することが大切です。
同時に、各要素の水準を統一して整理することで、要素の見落としが防げます。

3具体的な行動レベルまで分解

問題解決ツリーの最終段階での具体的な行動の明示は必須です。
その理由は、問題を解決するための実際のステップを明確にする必要があるからです。
単なる考えや理論で終わらせず、具体的な行動に落とし込むことで、実際の効果を生むアクションプランを作成しましょう。

【実践例】ロジックツリー

これまで様々な例を挙げてきましたが、最後に「目標が達成できない」という問題を題材にした実践例を紹介します。
問題を詳細に分析する際、どのポイントを重点的に見直すべきかを明確にします。

こうしてみるとこの問題に対しては、特に「具体的な計画がない」というポイントから、「期限が設定されていない」と「進捗の確認方法が不明確」という問題が浮き彫りになりました。

【まとめ】

いかがでしたか?
ロジックツリーは単なるツールと思わず、その多様性を理解していただけたでしょうか。

ロジックツリーのスキルは練習が鍵です。
積み重ねることで、より洗練されたツリーを作成できるようになりましょう。